私たちのHP減少率
格安航空券のからくりによる乗り継ぎ等 △20%
VOAでの謎の足止め △15%
エアポートメトロがとまっていた △10%
ニューデリー駅に降りてしまった △15%
ニューデリー駅での一連の出来事 累計△20%
オールドデリー駅にたどり着けるかどうかという思考 累計△15%
残5%のHPでニューデリー駅の反対側に降り立つ自信が全くなかった。
が、心が折れても、降り立つ自信がなくても時間は過ぎていくので、気を取り直してそそくさと反対側へ通じる階段を下りる。
階段を下りることに関してはなんの邪魔も入らなかった。
反対側はリクシャーがあんまり居なかった。
(最初に居た側の比じゃないってだけで多いことは多かったが)
地図を片手に持ってはいたが、2人とも地図(地球の歩き方)を頭に叩き込んだので、目的地わかってますよ風の歩き方ができていたと思う。
オールドデリー駅はここからだいたい北北東(1時)の方向だった。
リクシャーから宿の客引きに変わった。
それでも「目的地わかってますよ風」歩き方。略して、目的地ウォークは効果があるらしく、客引きの多くを篩にかけることに成功。
しかし一人の客引きが延々とついてくる。
私たちもずっとついてこられるのも困るので、
駅に向かって歩いているんだ。とか
宿は探してない。とか
泊まらない。とか話してみる。
が、一切無視される。
「This hotel is very deluxe!!」
そのホテルを素通りする。
「That hotel is VERY nice view!!」
もちろんそのホテルも素通りする。
「Hey!! There is NO HOTEL!! Come on!」
だーかーら!
ホテル探してないってば!!
いやはや、本当にすごい。
閉口するとはこの事。
残5%のHPを容赦なく奪われた。
が、ついに客引きは諦めたようだ。
HP残1%の所で解放された。
客引きの言うとおり、本当にホテルが無くなってきた。人気もなくなってきた。
街灯も。
怖くなってきた。
歩いていた道が突き当たった。
ここを右折してしばらく歩くとオールドデリー駅のはずだ。
いよいよ街灯がなくなり、車も通らないので足元が見えなくなった。
ライトを取り出す。
夫がつまづきそうになりながらも前を歩いてくれる。
その足元を照らしつつ歩いた。
駅らしきものが見えてきた。
心のどこかで「こんな簡単にオールドデリー駅に着けるわけがない」と思ってしまう。
落胆したくないので、「駅っぽいなぁ」と思うに留まることにした。
結果、駅だったけどオールドデリー駅ではなかった。
多分もうすこし進んだ先にオールドデリー駅があるんだろうな。と思った。
2キロくらいしか歩いていない気がしていた。
駅名を見て、2人で地図を見る。
ほどなくして夫が今いる駅を発見した。
ラーマクリシュナアシュラムマーグってメトロ駅。
ニューデリー駅から南西(8時)の方向。
ぽかーーーんとした顔をしていたと思う。
へ?は?逆方向を歩いていたの!!??
ニューデリー駅の出発時から間違えていた事が面白くなってしまって笑いそうになったが堪えた。
当たり前の話だけど、私が面白いと思った事を夫が面白いとは思わないことがある。
これはばっちりそのパターンや!
我慢。
メトロでどうにかオールドデリー駅に行けないかと思ったので、とりあえず改札付近に向かう。
駅員さんらしき人がいた。
話しかけたタイミングが終電のタイミングだったようだ。
諦めて外に出る。
この駅周辺にはオートリクシャーが2台、リクシャーが3台くらいしかいなかった。
そして客引きも控えめだった。
時間も時間だ。この辺で宿を取ると思われていたのかもしれない。
リクシャーの客引き(少年)が来た。
どうしようかなぁという素振りのまま、ひとまずうろうろしてみる。が、ここから徒歩でオールドデリー駅に行ける気がしない。
駅周辺が暗くて怖かった。
HPは風前の灯。
歩いて行くという選択肢は消えつつあった。
かといって、リクシャー・・・?交渉めんどーーーうーーん。て感じだった。
時間が経てば経つほど、リクシャーの客引きもいなくなるだろう、という焦りが出始める。
うーーん。
うーーーん。
ここでついにHPは限界突破を迎えた。
自棄というステイタス異常を伴っていた。
オートリクシャーだったら遠くにつれてかれたら・・という心配があったので、
ここはリクシャーの少年にお願いすることにした。
なぜかオールドデリー駅ではなく、その近くのラールキラーに近いメトロ駅まで、と依頼した。
その時はオールドデリー駅より距離が短いから、安く済ませられる。と思っていたんだと思う。
今はなぜオールドデリー駅までって言わなかったのか意味が分からない。
それだけ2人の思考回路はショート寸前だったのだと思う。
値段交渉はラールキラー近くのメトロまでで1人50ルピーっていうことで落ち着いた。
リクシャーに乗り込む。
初めてのリクシャーだった。
『ラールキラーまで一人50ルピーってどうなんだろう。』
乗る前に「We are very hard tourist!!!」とか何とか言ってお金持ってないアピールは万全だったはず。
お金持ってると思われるのは怖いので避けたかった。
空港からメトロでオールドデリー駅に行くつもりでいた私にとっては、ほんとにラールキラーに行ってくれるかもわからないリクシャーに揺られている。という、この現状が耐えがたかった。
リクシャーはよくわからないところを走る。暗くて怖かった。
このまま細い路地とかに入られて、仲間とか出てきて囲まれたら・・・とかも想定した。
様々なものが頭上に渦巻く。
リクシャーはオーバーパスに差し掛かった。橋の下には線路の束。
あの高架は。
ニューデリー駅だった。
実際にニューデリー駅を見て、本当に反対側に行ってたんだということをしみじみ実感した。
ニューデリー駅からオールドデリー駅までの道順をもっかい脳内に描く。
ここから先は少しでも変な方向へ向かおうものなら、リクシャーから飛び降りようと覚悟をした。
(リクシャーの構造的に無理に降りたら転倒必至なのだけど)
ニューデリー駅を見た私たちの気が緩んだ雰囲気を、もちろんリクシャー少年は見逃さない。
少年「Hey, Do you Like movie??」
私たち「Of cause!」
夫「I like a india movie because there are so many dance in it. 」
少年「yeah. I know very good movie theater!! This way ~
私「NO THANKS, WE HAVE TO GO TO ラールキラー」
少年「」
~1分後~
少年「Do you like drags?」
夫「No thank you. I don't like it」
少年「In india, so fantastic feel~
私「NO NO NO NO NO NO!!! YOU HAVE TO GO TO ラールキラー!!!!」
少年「バイエギュラ(多分バイアグラ) is so cheap in India. I know good pric~
私「ははー?ドラッグ買わせようとしてんの? NO NO NO!!! GO GO GO GO!!」
少年「」
だまれ小僧!と言わんばかりにヒステリーを起こした。
少年「Where are you from?」
少年は私側を向いて聞いたが、私は般若のような様相のまま目も合わさず無視したった。
慌てて夫が話す。
夫「We are from Japan」
少年「Oh , I like japanese」
夫「Thank you」
少年「Where are you going?」
夫「We are going to アジメール」
少年「Ok, I know the Bus stop for アジメール」
夫「へぇ~」
少年「I can bring you there.」
夫「No thank you~.」
少年「You can sleep in the bus.」
夫「No thank you. 」
私「寝ませんー!!笑 ・・・・We have to go to ラールキラー.」
さっきまでぎゃいぎゃい騒いでみたが、今度はドスきかせてみた。
私「If you go to another ラールキラー、・・・・」
ラールキラー以外の場所に行ったらタダじゃおかないわよ。と言いたかったのに、「タダじゃおかない」なんて表現を知らなかったので尻すぼみになった笑
もー私の馬鹿ーって笑いそうになった。
少年は私がもごもごしているので、
「Your request・・・」
と言って黙った。
なんだか車どおりのある通りに出た。
なんとなくラールキラーが近いと確信した。
ちゃんとラールキラー付近に来てくれた。と内心感謝した。
あとは、留まれる場所で降ろしてもらうだけ。
少年は下り坂に差し掛かったので、幾分か楽そうだった。
と、目の前にキャンピングカーみたいな乗り物が見えた。
その乗り物の前にインド人が1人立っていた。
リキシャーは下り坂の力を利用したまま、乗り物目指して直進していった。
私たちは悟った。
夜 行 バ ス だ。
夜行バスの近くに立ってたインド人の近くまでリクシャーは進み、少年が話しかけようとしたので、ヒステリー女を発動した。
私「NonononoNONONONONO!!!!!! GOgogogogogogogo!!!!!」
競馬場にいるおじさんみたいに熱狂的だったはず。
少年の目がすごーーーーーく泳いでいた。
しぶしぶ坂道を下り始めた。
そろそろ降りようか。と、夫と話していると、大きな標識が目に入った。
(左斜め矢印)OLD DELHI JUNCTION ○○M と。
きたーーーーーー!!!
その看板は視力の悪い私でも文字を読むことができるくらいでかい看板だった。
オールドデリー駅もジャンクションという名前が付くくらい大きな駅で、北からの列車が乗り入れているんだけど、その看板があった場所自体もジャンクションのようになっていた。
上をバイパスが走っていて、アンダーパスをくぐって行くとオールドデリー駅へ通じてますよー的案内だった。
私たちがオールドデリー駅を目指してるのを知られるのも面倒だったので、少年に気づかれないように、夫に合図を送って看板を見てもらった。
夫も少年に悟られないように小声で「おー」と言ってた。
(なぜか二人とも疲れた演技で)「もう、ここでいいよ」と少年に告げてよろよろとリクシャーから降りる。看板の手前50メートルくらいの場所だった。
私はここまでの道のりを振り返り、もしかしたら50ルピーは安いのではないかとふと思った。
夫に言うと、
「いや、最初一人50って話して乗ったしね。」と言われた。
確かに、そうだ。と思ったので、少年に2人分の100ルピーを渡した。
少年の目が再度泳ぎ始めた。
少年「一人100だよ!」
夫「乗るとき50って言ったよね」
少年「・・100だよ!」
もうヒステリーを起こすのも嫌なので、よろよろと(私たちもう疲れたの、もういいの・・・・という演技で)オールドデリー駅に向かって歩き始めた。
追ってくる少年。
少年「ラールキラーはそっちじゃないよ!乗せてったげる!」
夫「いや、もういいよ。大丈夫」
しおらしく歩く私たち。(よろよろしてたら張り合いがないのでそのうちあきらめるだろうと踏んでの演技)
少年は矢継ぎ早になんか言っていたが夫は無視することなく対応していた。
やさしいなぁと思う。
『{インド人に絡まれて、夫が対応してくれてる最中になんかすることありますか?}
近くいるインド人に、「あれうちのダンナなんすよww」って言う』
って一人で考えながら歩いてた。
看板があるアンダーパスに差し掛かった。トンネルみたいになってる。ライトは付いてなくて真っ暗だった。少しカーブした先に出口が見える。車はまったく通っていない。
でも歩道はないので、私のようなスピード狂の運転する車が来たらひとたまりもないなぁ。とか思った。
と、同時に
こ こ は イ ン ド だ
とハッとした。
鴨ねぎ旅行者がしおらしく歩いたからといって商売をしたいインド人が逃してくれるわけない。
猫背をやめて胸張って歩く速度を速めた。
少年「ねー!そっちはラールキラーじゃないよ!」
夫「いや、もう君の事信用できないから」
少年「ねー!」
夫「信用できないんだ」
看板から10分くらいは歩いた気がする。
記憶ではふと見上げるとオールドデリー駅の看板があり、その向こうを眺めてみると確かに線路が見えるなぁ。
近寄ってみる。
・・・あ、ここはおそらくオールドデリー駅だ。
って感じだった。
期待してはいけない精神が早くも根付いていたようだ。
もちろん少年はオールドデリー駅までついてきた。
オールドデリー駅の案内所?を目指して明かりのある方向へ歩いていった。
小さな建物が見えたのでとりあえずそこへ向かう。
同じようにその建物に向かっているであろうインド人を発見。
親子3人家族だった。
夫が女性に向かって「すみません、ここはオールドデリー駅ですか?」と聞くも
華 麗 に ス ル ー
インド人女性のスキルが高すぎて、、そして無視される夫も珍しすぎてすっごいびっくりした。
この視線も合わさない頑なな無視の仕方・・・もしかして、夫以外の男性とは話さないのかな?とふと思った。
無視された夫は落ち込んでいた。
建物の入り口に近づくと手荷物検査所があった。
そこに座ってる検査員のおじさんに夫が聞いてくれた。
夫「アジメール行きの列車はここに来る?」
おじさん「10時間遅れてるよ」